
管理栄養士国家試験の受験者は、管理栄養士養成課程の大学卒業見込の新卒受験者だけではありません。
中には、栄養士養成課程の短大や専門学校で栄養士免許を取得し、卒業後に管理栄養士へのステップアップを目指す「既卒栄養士」の受験者もいます。
厚生労働省が発表している管理栄養士国家試験結果を見てみると、既卒受験者の合格率は新卒受験者よりも低い傾向にあります。
既卒受験者はほとんどが働きながら受験勉強をしなければならないため、合格までの道のりは大変なものです。
参考資料:第35回管理栄養士国家試験の結果について
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000758946.pdf
そこで、既卒栄養士として日々、栄養士業務に従事しながら管理栄養士国家試験に合格できた知人に取材しました!
この記事では、既卒合格者直伝の管理栄養士国家試験合格のコツをまとめています。
既卒栄養士として働きながら管理栄養士へステップアップを目指している方への励みになる内容となっています。
ぜひ最後までご覧ください!
この方に取材しました!
お話を伺った知人、しおあじえんみさんを紹介します。
しおあじえんみさんの紹介
2010年、栄養士養成の短大卒業後、給食受託会社に就職。
2013年から管理栄養士国家試験受験資格を得て予備校に通う。
初めての国家試験で4点足りず不合格。結婚を機に管理栄養士国家試験を諦める。
7年後、管理栄養士への熱意が復活。再受験を決意。
半年間勉強を続けて、第35回管理栄養士国家試験に合格。
しおあじえんみさんは、栄養士養成課程の短大を卒業してから管理栄養士を取得した既卒栄養士さんです。
取得までにかかった年数は、なんと10年!しおあじさんが管理栄養士になるまでの10年間の軌跡を以下の記事にまとめています。
興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
既卒合格者に聞いた! 既卒栄養士が管理栄養士国家試験に合格するまでの軌跡
働きながら管理栄養士国家試験を勉強するのは大変!
まずは、しおあじさんに既卒栄養士として働きながら管理栄養士を目指すことの大変さを聞きました。
栄養士業務と厨房業務の兼任で勉強時間が取れなかった
しおあじさんは給食受託会社で栄養士として採用されました。業務内容は、厨房業務からのスタート。
念願だった栄養士業務を任されるようになったのは入社から4年後でした。仕事に対して一層やりがいを感じるようになりました。

しかし、現実は、栄養業務と厨房業務の兼任。厨房の早番勤務で早朝6時に出勤して、帰りは夜7時になる日々。
朝から夜まで仕事に拘束されて、勉強時間の確保ができなかったのです。

直営栄養士と自社厨房員との人間関係でモチベーションの維持が難しかった
給食受託会社の栄養士につきものなのが、受託先に所属している管理栄養士(以下、直営栄養士)や自社厨房員との人間関係。
受託先の施設の利用者さんに適した食事を把握している直営栄養士の指示を聞きながら自社厨房員に指示を出すのがしおあじさんの役割です。
時には、直営栄養士と自社厨房員の間に挟まれてしんどい思いをすることもたくさんありました。

終業後もそのしんどさを引きずってしまい、帰宅後に勉強をする気持ちを切り替えられなかった日もあったとのこと。
仕事で嫌なことがあってメンタル面がしんどい時は、他のことを頑張ろうという気も起きないですよね。
試験に向けての勉強にはコツコツ続けるモチベーションも大切ですが、メンタル面がいつもの調子でないとモチベーション維持も難しいものです。
既卒栄養士が管理栄養士国家試験に合格するコツは「ひたすら過去問」
なかなか思うように勉強ができないまま、しおあじさんは初めての国家試験に臨みました。結果は、4点足りず不合格。
その後すぐに結婚が決まり、新しい生活を送るうちにしおあじさんのモチベーションはゼロに。
しかし、7年後、しおあじさんの中で管理栄養士国家試験への熱意が再燃。すぐに取りかかったのが勉強方法の見直しでした。
参考書を1ページ目から覚えるのをやめてみた!
勉強方法の見直しの結果、しおあじさんは参考書を1ページ目から順番に覚えるのをやめたのです!
管理栄養士国家試験の科目は9科目で、科目の中身もたくさんの分野で構成されています。一つのことを覚えるにも膨大な知識の暗記が必要です。
しおあじさんは、勉強していた当時のことについてこう語っています。
(※管理栄養士国家試験を勉強している方にのみ伝わる内容です※)
しおあじさんが管理栄養士の勉強を始めた頃に思ったこと
管理栄養士国試の科目の1つに「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」という分野があるんですよ。
最初は、人の細胞の話から始まって、細胞の中にあるミトコンドリア、ゴルジ体、リボソーム、リソソームetc.…があります。
そしてミトコンドリアの構造、役割。ゴルジ体の構造、役割…

続いて視野を広げて細胞から筋肉、骨、内臓の構造、役割、疾病にて起こる現象。

ホルモンの種類、分泌場所、伝達場所、伝達するにあたって必要な物質などなど…

長々と単語を並べましたが、これはほんの序盤!複数の分野がこんなかんじでなおかつ、9科目分も暗記しなくてはならない。
とにかく広い!横文字多い!無理!!!って感じでした!!笑
しおあじさんからは、嘆きの言葉を多数いただきましたw
要するに、膨大な知識量を1から順番に覚えていたらいつまで経っても合格できない。と言いたかったのです。
この考えにたどり着いたしおあじさんは、参考書を1から覚える勉強法はやめたのです。違う方法でやっていこうと決めました。
過去問を解くことに集中することにした
参考書を覚えることをやめたしおあじさんは、とにかく過去問を解きまくることにしました。
既卒栄養士は、ゆっくり時間をかけて膨大な知識を覚えられません。初めから過去問を解いた方が効率がいいのです。

過去問の演習といえば、過去問題集です。しかし、しおあじさんがメインに利用していたのは「過去問.com」でした。
「過去問.com」は、国家試験の過去問や民間試験の予想問題を一問一答形式で解けるサイトです。
スキマ時間に気軽に解けます。勉強時間が取りずらい既卒栄養士におすすめのツールです。
サイト中に管理栄養士国家試験の過去問が掲載されていたので、時間がある限りこのサイトで過去問演習に取り組みました。

模試の結果よりも過去問演習を信じよう!
試験前の腕試しに受けるのが模試。しおあじさんも管理栄養士国家試験の試験直前に模試を4回受けたそうです。

模試の点数も余裕で合格圏内に入っていたのかと思いきや、なんと3回目の模試でやっと合格点が取れるようになったとのこと。
1回目に模試を受けた時点で過去問演習では正解率が80~90%だったにもかかわらず、模試では合格ラインにも届かない。という事態だったそうです。
模試には難易度の高い応用問題が組み込まれていることが多く、なかなか簡単に高得点が取れないようにできていると感じたそうです。
過去問演習で基礎をつかめていれば、本番では十分に合格点に達します。

模試で不合格の点数取っても、過去問演習で合格点に達しているなら本試験で合格できる可能性は高いです。
どうしても高得点で合格したい!というこだわりがある方は模試で高得点を取ることをオススメします。
しかし、勉強時間に制限がある既卒受験者はとにかく合格することを目標としましょう。そして、最低限の時間でできる過去問演習を信じて受験勉強を続けましょう!
既卒栄養士が管理栄養士国家試験の過去問を解くコツは3つある!
管理栄養士国家試験には、過去問演習が重要だとおわかりいただけたでしょうか?
しおあじさんによると、過去問を解くコツが3つあるそうです。3つのコツは、以下のとおりです。
既卒栄養士が管理栄養士国試の過去問を解く3つのコツ
●知識は過去問の解説で習得、それでもダメなら参考書!
●スキマ時間に管理栄養士国試対策アプリ
●1つの分野と他の科目のつながりを意識する
既卒栄養士さんの最大の課題は、「少ない勉強時間でいかに点数を上げるか」です。課題解決のためには、「時短で知識を習得する」べきです。
しおあじさんが見つけ出したコツは、時短効果があるものばかり。それでは、順番に3つのコツを紹介しますね。
知識は過去問の解説で習得、それでもダメなら参考書!
1つ目は、「知識は過去問の解説で習得、それでもダメなら参考書!」です。
知識の習得は、過去問の解説を読んで済ませちゃおうということです。


過去問の解説で理解できれば万々歳!時短効果!!
過去問の解説を読んでわからない問題があったら、参考書でその問題に対応しているページを開くのが大事。
過去問を解く→過去問の解説を読む→それでもダメなら参考書。しおあじさんは、この流れを徹底してきました。
その結果、半年で合格レベルの知識を習得できたのです。あくまでも、過去問を優先しましょう。そして、参考書は辞書代わりに使うと効率的です。

スキマ時間に管理栄養士国試対策アプリ
2つ目は「スキマ時間に管理栄養士国試対策アプリ」です。
「仕事に時間を取られて過去問演習する時間がなーい!」という時もありますよね。
時間がない時はスキマ時間を利用しましょう!管理栄養士国試対策アプリは、スキマ時間で過去問を解けます。
しおあじさんも学習アプリをオススメしていました。
しおあじさんは、残業続きで過去問.comさえ解く気力が起きない時もアプリは続けられたそうです。
しおあじさんがおすすめする学習アプリとアプリの活用法は以下の記事でまとめています。ぜひ参考にしてください!!
関連記事:既卒合格者に聞いた!管理栄養士国家試験におすすめ学習アプリ2選
1つの分野と他の科目のつながりを意識する
3つ目は「1つの分野と他の科目のつながりを意識する」です。

3つ目のコツを1番伝えたかったです!本当に大事です!!
管理栄養士国家試験の過去問を解いている途中、しおあじさんは突然気づいたのです。
「1つの分野の知識が他の科目の過去問につながっているではないか!!」と。
その後、しおあじさんは新しい解き方を発見しました。そして、メキメキと点数が上がったのです。
この話の続きは、別記事で紹介しています!しおあじさんの点数が上がった過去問の解き方をまとめています。全部実話です!
ぜひ参考にしてくださいね。
【管理栄養士国家試験合格者に聞く!】点数が上がる過去問の解き方|一気に合格圏内!

まとめ
既卒栄養士が働きながら管理栄養士国家試験に合格するコツを3つ紹介しました。
既卒栄養士が働きながら管理栄養士国家試験に合格する3つのコツ
★最大のコツは「ひらすら過去問を解く」こと!!
★既卒栄養士が過去問を解く3つのコツ
●知識は過去問の解説で習得、それでもダメなら参考書!
●スキマ時間に管理栄養士国試対策アプリ
●1つの分野と他の科目のつながりを意識する
既卒栄養士は日々の仕事や人の間に立つことの多い中で、勉強を続けるモチベーションを維持するのが大変ですよね。
執筆者自身も、しおあじさんが管理栄養士を目指す経緯を近くで見てきました。
既卒栄養士さんが働きながら管理栄養士国家試験に合格することは大変だということはよくわかります。
思ったように勉強時間が取れないこともありますよね。しおあじさんも勉強時間の確保が最大の課題でした。
そして、試行錯誤の末、過去問演習を中心とした勉強方法で合格を勝ち取りました。
勉強時間が取れずにお悩みの既卒栄養士の皆さん、まずは過去問題集から始めてみることをオススメします。
「クエスチョン・バンク」の問題集は、管理栄養士国家試験受験者に定番の問題集です。
「イラストを使った解説が多くてわかりやすい」としおあじさんから聞きました。
過去問の解説を見ても理解できない分野は、参考書を辞書代わりに調べましょう。
しおあじさんが使っていた参考書は東京アカデミーの「オープンセサミシリーズ」です。過去問の必携書としてぜひ使ってみてくださいね。
この記事が既卒栄養士として頑張る皆様の合格に繋がりますように!ぜひ、管理栄養士国家試験合格を勝ち取ってくださいね!!