
2022年1月に実施されたFP2級の試験問題は多くの受験者から「難しかった」と言われています。
特に学科の難易度はかなりのものでした。金財(一般社団法人 金融財政事情研究会)が発表した2022年1月試験の学科合格率は19.50%。
2022年1月以前に実施された過去5回分試験の学科合格率は20%~30%超えでした。20%未満の合格率を記録したのだから、相当難しかったのだろうと想像できます。
参考:試験結果 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)
私は妊娠中にFP3級に合格。すぐにFP2級の勉強を始めました。開始数ヶ月で出産を迎えて、FP2級を受験するタイミングを逃しております。でも、子育ての合間に勉強は続けてきました。
そこで、自分の到達度を知りたくて2022年1月実施されたFP2級本試験問題を解いてみました!
この記事では、私がFP2級本試験問題を解いた結果と感想を発表します。
FP2級本試験を解いた感想には、これからFP2級を目指す皆さんへのアドバイスも込めました。ぜひ、最後まで読んでくださいね。
2022年1月実施・FP2級試験問題を解いてみた
試験問題は学科と実技試験どちらも解きました。学科は過去問道場、実技は本試験問題を見ながら解答しています。ちなみに、実技は金財の生保顧客資産相談業務です。
学科は過去問道場で解きました
過去問道場はFP3級を受験した時に大変お世話になりました。今まで実施されたFP試験の過去問全てを演習できます。

過去問道場は問題1つ1つを丁寧に解説してくれるので、直前演習にとても役に立つサイトです。

過去問をランダムに出題したり、年度ごとの模擬試験を解いたりもできます。間違った問題を復習できるなど機能も充実。
FP受験者にはぜひ使っていただきたいコンテンツです。興味のある方はぜひ過去問道場さんを利用しましょう!
過去問道場を覗いてみる!
今回は過去問道場の模擬試験機能を使いました。2022年1月試験を選択して「出題開始」ボタンでスタートです!

FP2級学科は4つの選択肢から解答します。過去問道場には全問題に4択のボタンが設定されています。4択から正解を選んでクリックする仕様です。

模擬試験は学科試験の全60問が順番に出題されます。
※金財公式ホームページに掲載されている試験問題と模範解答はこちら!
学科試験問題 | 学科模範解答 |
2022年1月・FP2級学科試験問題 | 2022年1月・FP2級学科模範解答 |
模範解答:2022年1月試験 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)
実技・金財生保顧客資産相談業務は金財公式ホームページを見ながら解きました
実技試験の生保顧客資産相談業務は、金財公式ホームページ「試験問題」のページにアクセスしました。

過去問道場にも実技専用サイトがあるのですが、パソコンかスマホで入力して解答する仕様です。どうしても手書きで解答を書きたいというこだわりがありました。

金財の実技は記述式なので、自分の手で解答を書きたかったのです。
今回は試験問題のPDFを見ながら解答する方法をとりました。


※金財公式ホームページに掲載されている試験問題と模範解答はこちら!
金財・生保顧客資産相談業務試験問題 | 金財・生保顧客資産相談業務模範解答 |
2022年1月試験問題 | 2022年1月試験・模範解答 |
模範解答:2022年1月試験 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)
2022年1月実施・FP2級試験問題で正解率が7割超えました!
それでは、試験問題を解いた結果を発表します。結論から言うと、学科と実技どちらも合格点に到達できました!正解率は7割超えでした。
学科は60点満点中43点正解
学科の採点結果は60点満点中43点でした!正解率は71.7%。

過去問道場は採点結果も詳しく教えてくれます。分野別の正解率が一目でわかる仕様が素晴らしい。

今回は、金融資産運用の点数が1番低かったです。

学科の試験問題は本当に難しかったです。序盤は絶好調だったのですが、中盤の金融資産運用あたりから不正解の連続。
解き終わった後、ドキドキしながら結果を見ました。なんとか70%超えられて、心底ホッとしました。
実技・金財生保顧客資産相談業務は49問中44問正解
実技の金財・生保顧客資産相談業務は49問中44問正解でした。

FP3・2級の実技試験は配点を公表しないので、正確な点数はわかりません。
正解率は89%~90%なので、点数を付けるとしたら44点~45点くらいでしょうかね。
想像よりも高い正解率だったので、すんごく嬉しかったです。

難易度としては、学科よりは簡単。でも、今まで勉強した生保顧客資産相談業務の中で一番難しいといった印象でした。
過去問では見たことがない論点が出てきたし、「FP2級はこれから学科も実技も難化するのかな?」なんて考えてしまいました。
過去問を解きまくるだけではFP2級本試験に通用しないかも
2022年1月のFP2級本試験問題を解いて感じたことは、「これからは過去問を解きまくるだけでは通用しないかもしれない」ということでした。
今回の試験問題を解くまで、「FPの対策は過去問を解きまくることだ」としか考えていませんでした。
ところが、今回の経験によって「過去問だけで合格できるという考えは甘いのではないか」と感じたのです。
「過去問で見たことある!」という感覚が一切なかった
私が過去問だけではいけないと思った理由を一言でいうと、2022年1月試験がとにかく難しかったからです。
特に学科の試験問題はかなり難しくなったと感じました。どこが難しかったのかというと、「過去問で見たことある!」という感覚がなかったのです。
2022年1月の学科では過去問の類似問題が極端に少ないと感じました!

毎回、FPの試験問題には過去問の類似問題が出題されます。過去問をしっかり対策すれば合格できるはずなのですが、2022年1月試験は違っていました。
全く見たことがないと感じたのは、学科の問24・デュレーションの問題でした。
債券のデュレーションに関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
2022年1月実施・FP2級学科試験問題・問24デュレーションは、債券への投資資金の平均回収期間を表すとともに、債券投資における金利変動リスクの度合い(金利変動に対する債券価格の感応度)を表す指標として用いられる。他の条件が同じであれば、債券の表面利率が低いほど、また残存期間が長いほど、デュレーションは(ア)。なお、割引債券のデュレーションは、残存期間(イ)。
選択肢は省きますが、正解は(ア)長くなる・(イ)と等しくなるです。この問題を見た瞬間、「デュレーションって何!?」と思いました。
落ち着いて文章の冒頭を読んで、学習に使っていた参考書「みんなが欲しかったFP2級の教科書」に書かれていた「債券の論点」ということはわかったのです。

そこで、(ア)は「長くなる」と解答できました。
問題は、(イ)の解答でした。割引債券とデュレーションの関係は全く知らなかったのです。

割引債券なんて参考書にも過去問でも見なかったよ~!!
結局、勘で答えて問24は不正解でした。学科の試験問題は、問24の他にも参考書と過去問で徹底的に対策しても太刀打ちできない問題が多かったのです。
過去問でも見たことないマニアックな論点の出題が多かった
さらに、マニアックな論点からの出題が多い印象でした。学科だけではなく、実技にもいえることです。
過去問で見たことがない論点からの出題が多くて、「いくらなんでもマニアックな論点を出し過ぎだろう」というのが正直な感想です。

FPの試験問題では、参考書に載っていない論点やマニアックな論点が必ず出題されます。しかし、2022年1月試験ではマニアックな論点が多すぎました。
マニアックな論点の例として、具体的に試験問題の中から1問だけ紹介します。実技試験の金財・生保顧客資産相談業務からの出題です。
Mさんは、Aさんに対して、雇用保険の介護休業給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
「介護休業給付金は、Aさんのような雇用保険の一般被保険者が、配偶者た父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前の2年間にみなし被保険者期間が通算して(①)以上ある場合に支給されます。(略)
また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に(②)まで限り支給されます。
介護休業給付金の額は、介護休業中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間あたり『休業開始時賃金日額×支給日数×(③)』の算式で算出されます。(略)」
〈語句群〉 イ.3ヶ月 ロ.6ヶ月 ハ.12ヶ月 ニ.3回 ホ.4回 ヘ.5回 ト.50% チ.67% リ.75%
2022年1月実施・金財生保顧客資産相談業務試験問題第1問・問3
雇用保険の介護休業給付に関する穴埋め問題です。正解は①ハ.12ヶ月②ニ.3回③チ.67%です。私はこの問題を見た瞬間、「雇用保険の介護休業給付って何!?」とびっくりしました。
だって、学習に使っていた参考書「みんなが欲しかったFP2級の教科書」では介護休業給付についての説明はこれだけだったんですよ。

介護休業給付については、参考書でも単語しか書かれていないのだから中身まで問われてもわかりませんでした。
今後、介護休業給付金について出題があるかもしれないと調べたので軽くまとめておきます。
雇用保険の介護休業給付
●介護休業給付の受給資格は、介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要
●支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給
●給付額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」により算出
●就労した場合、1支給単位期間において就労している日数が10日以下でなければ支給対象とならない。
●1支給単位期間において、「休業開始時賃金日額×支給日数」の80%以上の賃金が支払われている場合は、介護休業給付の支給額は0円となる。
過去問+αの対策が必要になるかも
以上で説明したように、2022年1月実施・FP2級本試験では過去問で徹底的に対策してもかなわない問題が多く出題されました。
今後もFP2級が難化する傾向が続くようであれば、過去問中心の対策は通用しなくなるでしょう。
過去問重視の対策をしてきた受験者は「こんな問題過去問にあったっけ?」と戸惑うことになります。

試験本番で戸惑うことがないように、今後は「過去問+α」の対策が必要になるかもしれません。
通用するためには論点を理解した上で「考える」ことが必要
FP2級の難化に備えるために、過去問+αの対策が必要と考えました。「+α」とは、論点を理解した上で「考える」ことです。
「考える」とはどういうことなのか。詳しく説明します。
わからない論点も「考える」となんとかなる
先ほど紹介した生保顧客資産相談業務の問題を振り返った時に、「こういう解き方もあったか!」と閃きました。
穴埋め問題の(①)は介護休業給付の支給対象について聞いています。

「介護休業開始日前の2年間のうちに、みなし被保険者期間は何ヶ月以上の人が対象になる?」と聞いていますね。
Mさんは、Aさんに対して、雇用保険の介護休業給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
「介護休業給付金は、Aさんのような雇用保険の一般被保険者が、配偶者た父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前の2年間にみなし被保険者期間が通算して(①)以上ある場合に支給されます。(略)
また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に(②)まで限り支給されます。
介護休業給付金の額は、介護休業中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間あたり『休業開始時賃金日額×支給日数×(③)』の算式で算出されます。(略)」
〈語句群〉 イ.3ヶ月 ロ.6ヶ月 ハ.12ヶ月 ニ.3回 ホ.4回 ヘ.5回 ト.50% チ.67% リ.75%
2022年1月実施・金財生保顧客資産相談業務試験問題第1問・問3
雇用保険で「2年間」といえば、失業保険(一般被保険者の基本手当)の給付対象に似ていませんか?

失業保険も離職前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あれば給付対象になります。
ということで、①の答えは12ヶ月と解答できます。
②は知識がないと解けないので捨てます。
お次は③です。「介護休業給付金額は賃金の何%?」と聞いています。
Mさんは、Aさんに対して、雇用保険の介護休業給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
「介護休業給付金は、Aさんのような雇用保険の一般被保険者が、配偶者た父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前の2年間にみなし被保険者期間が通算して(①)以上ある場合に支給されます。(略)
また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に(②)まで限り支給されます。
介護休業給付金の額は、介護休業中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間あたり『休業開始時賃金日額×支給日数×(③)』の算式で算出されます。(略)」
〈語句群〉 イ.3ヶ月 ロ.6ヶ月 ハ.12ヶ月 ニ.3回 ホ.4回 ヘ.5回 ト.50% チ.67% リ.75%
2022年1月実施・金財生保顧客資産相談業務試験問題第1問・問3
雇用保険で介護休業給付に名前が似ている制度といえば、育児休業給付です。育児休業給付のしくみは「みんなが欲しかったFP2級の教科書」にも載っています。

育児休業給付は休業前の賃金の67%が支給されます。「介護休業給付も同じかな?」と推測すれば、③は67%と解答できますね。
以上のように、今まで学習した論点を振り絞って「考える」と必ず突破口は見えてきます。学習したことのない論点が出題されても決して諦めてはいけません!
理解した論点を「考える」訓練も必要
問題を解きながら「考える」訓練を普段の学習に取り入れると、本番ではものすごい力を発揮するでしょう。
論点を理解した上で「考える」習慣が身に付けば、今まで学習したことがない問題にも対応できるようになります。

FPの学習において、過去問演習は必須です。しかし、過去問だけを頼りにしていてはFP2級が難化した場合につまづく可能性が高くなります。
過去問演習に加えて「考える」訓練を行うことは、難化するFP2級に通用する対策といえるでしょう。
まとめ
2022年1月実施・FP2級試験問題を解いて、無事に7割以上の正解率を達成できました。しかし、学科・実技ともに今までにない難しさでした。
過去問で見たことない問題やマニアックな論点ばかり出題されていたことから、「過去問を解きまくるだけでは今後のFP2級に通用しなくなるのではないか!?」と感じました。
FPは過去問の類似問題が出題されることも多く、過去問対策は必須です。しかし、この度の経験で過去問+αの対策も必要だと感じたのです。
+αの対策とは、今まで学んだ論点を振り絞って「考える」習慣です。考えることができれば、わからない論点にも対応できます。
「考える」訓練は、難化するFP2級に通用する対策といえます。FP2級の学習につまづいた場合はぜひ「考える」解き方を取り入れてみましょう!